CHAMPIONS CARNIVAL 2015
2015年12月12日(土) ディファ有明
町田光はヤスユキへのリベンジを目指し、テクニシャンの高橋幸光と5年ぶりに戦ったが、高橋が3R TKO勝ち。左肘で切り裂いての勝利ではあったが、かつて山崎秀晃・NOMANらと鎬を削ったKrushへの復帰、その先のK-1参戦を熱望した。宮元啓介・一戸総太はWBCムエタイ戦線で快勝。INNOVATION王座戦線では山口裕人・侑馬兄弟がパンチで豪快にKO勝ちし存在感を示した。
レポート&写真:バウトレビュー井原芳徳
第10試合 62kg契約 3分5R
×町田 光(橋本道場/WPMF世界&INNOVATIONスーパーフェザー級王者、REBELS 60kg級王者)
○高橋幸光(はまっこムエタイジム/MA日本ライト級王者、元J-NETWORK王者)
3R 2'18" TKO (ドクターストップ:左肘打ちによる額のカット)
居合ポーズを織り交ぜたパンチをはじめ、最近は膝・肘・崩し技にも磨きがかかる町田と、テコンドーとムエタイを融合したサウスポーからの蹴り技を得意とする高橋の、独創的なスタイル同士の顔合わせ。両者はまだ若手時代の2010年5月、当時の町田のホームリングだったMAキックのディファ有明大会の第3試合というポジションで戦い、町田が3R判定勝利している。町田はヤスユキへのリベンジを見据え、テクニシャンで手足の長い高橋との対戦を志願したが、足元をすくわれることに。
1R、高橋はいつものようにサウスポーに構え、前進する町田に対してロープを背負いながら左ミドルをヒット。町田も右のミドルや奥足狙いのローを返しつつ、居合ポーズから左のフックや左ミドルを放つが、高橋は反応してブロックしている。
2Rも町田は居合ポーズからの左右のボディを放つが、高橋はガードして対応。町田が圧力を強めてパンチを振るってくるが、高橋は左の蹴りを返しつつ、左の肘も出し、これが見事命中し町田は眉間を切りドクターチェックを受ける。再開するが、高橋の左ストレートをもらってのけぞり、再び血で顔が染まりドクターチェック。再開後も高橋が飛び膝や左肘で攻め、町田を追い詰める。
3Rも高橋が左ミドル、三日月蹴り、肘を当てるが、町田も右ミドル、右膝蹴りといったボディ狙いの攻めをすると、少し高橋は動きが落ちる。だがいったん収まったかに見えた町田の出血が、時間が経過するごとに再開。通算3度目のドクターチェックが入ると、ついにドクターがストップをかけ、高橋の勝利となった。
試合が終わると、高橋はリングサイド席の木村“フィリップ”ミノルに向かって「K-1出たい。肘無しだけど」と笑顔でアピールし、INNOVATIONと袂を分かったMAキックのベルトを巻きながらマイクを持つ。高橋は「町田選手とリベンジかけて戦って、強かったんですけど勝てて良かったです。なんか(前日計量後のコメントで)ヤスユキさんとやりたいと流れてますけど、別にどうでもいです。正直、ちょっと(町田の)邪魔したかっただけで」と説明すると「自分は今メジャーで(観客との記念撮影で)そこでモテてる金髪の(木村)ミノル君と、やりたいとは言わないです。やられるんで(笑)。来年階級を上げるんで、K-1、Krush、特にやっぱりK-1に出たいです。会長なんとかお願いします。機会があったらまたINNOVATIONの興行に呼んでください。K-1で必ず勝って盛り上げます」とアピールした。
◆高橋「町田選手がガンガン前に来るとわかってて、膝と肘を合わせろと言われてて、会長とかのおかげですね。居合パンチと言っても結局は外からなんで、固めてればいいかなって。1回やってるんで、何かしら癖はわかるかなという。左ミドルをもっと当てたいんですけど、パンチを合わせられるんで、三日月蹴りに変えて、リズムを変えようと思いました。…って、実際は本能なんであんまり考えてないんですけどね(笑)。大振りで来るのは分かってて、右ストレートをよけたら肘というのは自分の中で考えてて、一切練習していないんですけど。
(K-1を狙う?)勝ったら言ってやろうと思ってて。山崎(秀晃)さんにリベンジしたい気持ちもあって、ちょうど(山崎が返上したKrush -63kg王座決定)トーナメントも来年やるから、出たいと思ったんですけど(今回の)試合が終わってないから出たいと言えないんで、言う前に8選手が決まってしまったから悔しいんですけど。そこでタイトル取ればK-1にも行けるんで。(Krushを離れて)3年経ったんで、そろそろKrushとかK-1に行ってもいいんじゃないかと。今見てもらったように僕は蹴り主体で、タイのゲーオ以外に蹴りの選手も必要かなって。-63kgでも-65kgでも行きたいけど、最初は-63kgかな。話があれば行きたいです」
第9試合 57kg契約 3分5R
○宮元啓介(橋本道場/WBCムエタイ・インターナショナル&INNOVATIONスーパーバンタム級王者)
×ナコンレック・エスジム(タイ/エスジム/元ルンピニー認定フライ級王者)
4R 2'39" TKO (タオル投入:左ボディフック)
宮元は9月にフランスのアレクシス・バラテウを2R KOし、WBCムエタイ・インターナショナル・スーパーバンタム級王座を獲得。インターナショナル王座はタイ在住のタイ人以外向けのタイトルで、タイ在住のタイ人も挑戦できる同世界王座獲得を見据え、昨年9月のムンファン・エスジム戦以来となるタイ人との試合が組まれた。対するナコンレックは32歳で、11月に新日本キックに参戦し、石原將伍(ビクトリージム/日本フェザー級3位)と59kg契約で戦い、激しい打ち合いの末に3R判定負け。今回は57kgのため本領を発揮しやすい状態となる。
1R、ナコンレックはロープを背負う時間が長いが、スピードのある左フック、右肘で宮元を脅かす。宮元も随所で蹴り足をすくいながらや、顔面のワンツーから左ボディにつながるパターンをお返し。2Rも同様の構図で、宮元は右のローのヒットも増えてくる。
3Rも宮元はロー、左ボディを当てるが、ナコンレックも右肘や左膝をお返し。3R終了時のジャッジの中間採点は2者がドロー、1者がナコンレックを支持している。
すると宮元は4Rに入ると、攻撃に心なしか力が入った様子で、執拗に左ボディを当てて効かせてついにダウンを奪うことに成功。これまで耐えて来たナコンレックもついに我慢の限界といった様子で、最後も左ボディを当て、戦意喪失のような状態に追い込みTKO勝ちした。だが宮元の自己評価は厳しく「この内容じゃ世界は無理なんで、もっと強くなって取ります」と宣言した。
第8試合 WBCムエタイランキング査定試合 58kg契約 3分5R
×竜誠(ダイケンジム/INNOVATIONフェザー級2位)
○一戸総太(WSRフェアテックス池袋/WPMF世界フェザー級王者)
判定0-3 (神谷48-49/小林48-49/梅沢49-50)