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2020/12/15(火)葵拳士郎インタビュー(12月27日興行「CHAMPIONS CARNIVAL 2020」)

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WBCムエタイ日本スーパーフェザー級(58.97kg)タイトルマッチ 3分5回戦 
葵 拳士郎(王者/マイウェイジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION/元INNOVATION日本スーパーフェザー級王者) 
山浦 俊一(挑戦者1位/新興ムエタイジム/ニュージャパンキックボクシング連盟/NJKFスーパーフェザー級王者)

葵拳士郎インタビュー

取材・文:JAPAN KICKBOXING INNOVATION広報部

——今年8月23日、JAPAN KICKBOXING INNOVATION(以下略:INNOVATION)主催興行「Join Forces-16」のメインイベントとして予定されていながら流れてしまったタイトルマッチが再設定されていよいよゴングを待っております。

8月の試合は、10日前の中止でしたから「やっと」の気持ちです。

——コンセントレーション(集中力)に影響は?

コロナですから仕方ないですし、むしろ「基本土台をしっかりと強化することができた」とプラスに捉えています。強敵ですが、勝率は上がったんじゃないかなって。

——強敵と評する山浦俊一選手の分析評価は?

僕は、対戦相手のVTRをほとんど見ないタイプなので口に出せる程のものはありません。動画を見て相手の出方を決めつけることで固定概念ができてしまうことが嫌なので。ざっくり1回か2回見て、大まかな癖が認識できればいいかなと。結果、首相撲とパンチが上手いことは間違いないですし、僕にはそれで十分です。

——相手を舐めているではなく?

NJKF(ニュージャパンキックボクシング連盟)の看板背負って乗り込んでくる1位ですから、軽視できるわけがありません。

——やはり、メインで団体対抗戦の王者対決ともなれば、葵選手もより一層気合いが入っておられるのでは?

それがですね、そうでもないんですよ(笑)。これも決して舐めているわけではありません。もちろん、会長や理事長に組んでいただいた試合ですから負けるわけにはいきません。絶対に勝ちます。ただ……。

——ただ?

自分がチャンピオンで山浦選手が挑戦者という立場ではありながら、僕は「ベルトを護る」のではなく「もう1度獲りにいく」、つまりは防衛戦ではなく王座決定戦の気持ちで臨みたいなと。

——王者ではなく挑戦者でありたいと?

そういう“気持ち”こそが自分の持ち味だと心得てます。

——今回の試合、どんなところに注目していただきたいでしょう?

まさに“気持ち”です。僕は下がりません。下がったら負けだと思っています。

——確かに闘志ほとばしる葵選手の試合は熱気に溢れていますが、一昨年(2018年)7月1日、INNOVATIONスーパーフェザー級タイトルマッチで当時1位の元山祐樹選手を挑戦者に迎えた一戦は、大変なクロスゲームとなりながら第5ラウンド、試合終了間近にバックハンドブローを鮮やかに決めての勝利だっただけに、鮮やかな大技の一発を持たれている印象です。

あれは運が良かったです。たまたまで。

——勝負を決めた確信の一発が“たまたま”とは、ご謙遜が過ぎませんか?

試合の動画は見返しましたけど、タイミングが良かっただけで元山選手にはダメージはあまりなかったでしょうし、セコンドが「効いてないよ」と抗議されていた気持ちもわかります。リングに上がるからには、勝利はもちろんKO狙いだって大前提ですが、そんな中、ギリギリのせめぎ合いで引き寄せた一発でした。僕としては、あの試合、そのバックハンドブローよりも自分が最も大切にする“気持ち”が見せられたのではないかとの自負があります。これまでの試合でKO勝ちは少ないし、泥試合ばかりですが、“気持ち”一点では誰にも負けません。

——なるほど。ここでそんな葵選手の経歴を教えてください。幼少から空手道を習われて、68度もの優勝歴があられるとのこと。

でもですね、元々、格闘技は嫌いだったんです。

——プロ歴10年のベテラン二冠王が意外です。

平和主義で、争い事も痛いのもイヤでして(笑)。

——それが何故ここまで?

空手は兄たちが通っていたので無理やりでしたし、試合も出させられていながら5歳から小3まで勝ったことがほとんどなくって落ち込むばかり。

——そこから開眼が?

小4で「勝てるわけがない」と言われていた強豪相手にバックハンドブローで技ありを取って勝ち、大会MVPまでいいただいたのは自信となりました。

——そんな転機となるポイントでまたもバックハンドブロー。やはり特別な技ではないでしょうか?

かもしれません(笑)。そこからは、トンネルを抜けたように楽しく闘うことができるようになりました。そうそう、その試合は、新実戦空手道の大会で、従来のフルコンタクト空手からMMAなど5種類のルールで試合をするものでした。

——それは初耳です。

空手も極真のようなフルコンから硬式空手、グローブ空手、独自の新実戦空手道ルールまで4種類がありました。そんな5部門を1日で行い、前述のMVPをいただいた時は、5分の3競技を制覇することができました。空手は、200から300戦くらいやったか。

——そして、アマキックは18戦16勝の好成績。エリートの他なりません。

それがプロで3、4年前、引き分けを挟んで8連敗を経験していますから、そんなことはないんです。その地獄を抜け出して2戦目にINNOVATIONのベルトを巻くことができて、更にはWBCムエタイ日本王座も獲得できて、ここまで来れたのはラッキーだなって。

——いえ、「継続は力なり」の典型ではないでしょうか?

何回も「もうやめよう」とは思いました。

——それでも続けられたのは?

まだ自分に伸びシロがあると信じているから。限界までは、まだ辿り着いていない。

——少年時代は「格闘技が嫌い」とまで言われながら、余程のキックボクシングジャンキーに思えます。

今だって好きなわけではないんですよ(笑)。

——それでも、会社勤めとハードトレーニングを並行してもう10年もプロであり続けチャンピオンとなられている。

勝った時の優越感が忘れられないからでしょうか。応援してくれた家族や友人、皆が笑っているって雰囲気がたまらなくって。

——今回の試合も味わい深いものとなりそうです。

今のトップファイターは、とんでもなく巧いです。那須川天心選手や武尊選手のような試合を僕はすることができません。けど、逆に彼らにできない闘いを魅せる自信は確かにあります。

葵拳士郎のプロフィール

リングネーム:葵 拳士郎
フリガナ:アオイ・ケンシロウ
所属:マイウェイジム/JAPAN KICKBOXING INNOVATION
生年月日:1993年10月1日(27歳)
出身地;山梨県富士吉田市
身長:170cm
戦型:オーソドックス
プロデビュー:2010年9月20日
戦績:34戦17勝(3KO)13敗4分
ステータス:WBCムエタイ日本スーパーフェザー級王者、元INNOVATIONスーパーフェザー級王者
所属ジム公式サイト:http://www.mywaygym.com